2015年3月21日土曜日

浮氷の上の男たち [ナンセン]




”結局のところ、私たちは失敗を恐れる必要などあるのだろうか。6人の男が浮氷に乗って南へ流され、目指した場所とは違うどこかに上陸し、しかる後に目的地へとたどり着く。それなら不満を言う理由などない。仮に西岸に到着できなかったとしても、何だというのだろう。はかない希望がついえてしまう例など、歴史にはいくらでもある。今年は失敗したとしても、来年はうまくいくかもしれない”

”必要なぶんだけ先を見て、あとは成り行きにまかせよう”


”運命とは、こうも唐突に変わるものか。我々の足が、やがて岸を踏むことは明白となった。昨日そんなことを言われても、誰も信じなかっただろう”

”不確実さが確実さに道を譲り、願いの実現が可能であるとわかった瞬間ほど、明るい気持ちになることはないだろう。夜明けがもたらす震えるような喜びにも似ている。真昼よりも夜明けのほうが美しく、かつ光のありがたさを実感できるものだ”


フリチョフ・ナンセン『グリーンランド初横断』





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