2014年8月28日木曜日

文明と犬と [南極点]




「南極点はイギリス人が制服せよ」

イギリスの権威、王立地理学会は「スコット」にそう命じた。

時を同じくしてノルウェーでも、「アムンセン」が南極に旅立っていた。



——2つの隊の違いは、ノルウェーのアムンセン隊が「犬ゾリ」を使ったのに対して、イギリスのスコット隊は「エンジン付きのソリ」と蒙古馬を使おうとした点にある(『岳人 2014年 09月号』)。

18世紀初頭という時代、産業革命を遂げて世界に躍進していたイギリスは、「文明の力で南極点へ」と先進工業国の技術の粋をスコット隊に注ぎ込んだ。軍人スコットは「犬の力を借りるのは紳士的でない」と言った。

一方のノルウェー、昔ながらの「イヌイットの知恵や技術」で、犬とともに南極点へ挑んだ。ヴァイキング発祥の地であるノルウェーでは、極地を旅する際、「その土地の優れた文化を取り入れる」のは当たり前だった。



2隊の結果は?

アムンセン隊(ノルウェー)がまず人類初の南極点を踏んだ(1911)。犬を機動力兼食料として、スキーを足回りとして駆使した成果だった。






イギリスのスコット隊は遅れること1ヶ月。南極点に到達した。しかしその帰路、吹雪に閉じ込められて全員が遭難、死亡。

——アムンセン隊が多少苦労しつつも、全員無傷かつ楽しそうに南極点を往復したのに比べ、スコット隊は少しずつ痛めつけられるように潰れていった(『岳人 2014年 09月号』)。






出典:岳人 2014年 09月号

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