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オイゲン・ギド・ランマーは1863年ウィーン郊外に生まれ、東部アルプスで「登れ、然らずんば死を」といった姿勢で難しい登攀を繰り返した。1879年、16歳のときマッターホルンの西壁に挑み、退却の途中パートナーと共に雪崩に巻き込まれたが、生還し、その後も登山をつづけた。
ランマーはニーチェの信奉者としても知られ、強い自我による状況の打開を理想とする姿勢から、ピトンやロープの使用に懐疑的だったばかりでなく、落石や雪崩といった危険もクライミングというゲームの一つの要素であるとした。
また、当時アルプスの地は自然破壊の先進地域であり、地元の登山ガイドたちは固定ロープを張り、山小屋を作ることで顧客を獲得しようとした。ランマーはこれに強く反発してガイドレス登山を唱道し、「森林限界を超える高所に、人工物を作るな」と主張した。
激しい単独登山を実践した者としては珍しく長生きし、1945年に82歳で没した。生前1923年に、自伝的回顧録”Jungborn”を上梓した(邦訳『
青春の泉』は千坂正郎訳で朋文堂から1956年に出版)。
出典:「
岳人 2014年 11月号」
登山用語辞典 用語No.45 単独行者 Allenganger【独】
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