2015年2月3日火曜日

着た瞬間から湿気を逃がす、初の素材 [マウンテン・ハードウェア]


Seraction Jacket
セラクション・ジャケット

Mountain Hardwear
マウンテン・ハードウェア





〜話:加藤雅明〜

 たとえマイナス20℃であろうとも、運動をすれば汗をかく。そのかいた汗がウェアの内部に水滴となって凍り付くと、まるで”氷のウェア”を着ているような状態になる。大汗かきの僕は、それで過去二回、ひどい目に遭っている。

「バックカントリースキーに何を着て行くのか?」

 その日の気温や工程、条件を考えて、どんなレアリングをするべきなのか、毎回頭をひねったが、なかなかこれと言った確信が得られなかった。けれども、この『ドライQ』を使用したマウンテンハードウェアのシェルを着用するようになってから、レイアリング(重ね着)に対しての迷いは払拭された。つまり、「運動しても汗がこもらない」という課題が解決すると、ほとんどの問題は消失してしまうのだ。





 驚くのは「内部の温度が上がる前から湿度を外に逃がしてくれる」という点だ。通常(ゴアテックスなどは)汗をかいて内部の温度が上がってから透湿されていく。それでは汗が汗をよび、不快感を回避することはできない。けれどもこのシェルはそうした不快感を感じることなく、着用したままハイクを続けることが容易にできる。

 このアウターシェルの性能が、内部のアンダーウェアやミッドウェアの機能性を100%引き出してくれるとも言えるだろう。細身のフィットながら、重ね着できやすい適度なゆったり感をもつ。





 『セラクション・ジャケット』は、アイスクライマーのティム・エメットとの共同開発モデルだと言う。

 寒さを感じる部分には保温性に優れた素材を使用し、熱を発する部位には通気性の良い素材が配置されている。腕を上げたり下げたりと忙しく動き回ってもストレスがないのも特徴の一つだ。脇下、サイド、頭頂部に完全防水のストレッチパネルを配し、アクロバティックなムーブも自由自在。冬季スポーツ全般で活躍するウェアであることは間違いない。

 細部に至るまで工夫が施された頼もしいジャケットが、これほど軽量にできているというのもまた別の驚きである。






ソース:ソウルスライド2015 (SJセレクトムック)
加藤雅明「新素材革命を体感してみた」Seraction Jacket




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