2015年2月24日火曜日
イチ押し ドライ系アンダーウェア
肌が濡れていると「冷え」に悩まされる。肌表面が濡れていると熱伝導率が極端に高まり、乾いている場合に比べ「約25倍」ものスピードで体温が奪われてしまうからだ。
こうした汗冷えの問題に正面から取り組んだのがファイントラック(Finetrack)だった。同社は「肌の水濡れを防ぐこと」だけに焦点を当てた独自ウェアの開発をはじめた。そして「撥水加工された極薄のアンダーウェア」を肌着と肌のあいだに挟み込むことで、汗や水分の濡れ戻りを防止できることを突き止めたのである。この超撥水アンダーは「ドライレイヤー」と名付けられ登録商標された。2004年のことだった。
発売当初、山では「肌着を2枚も重ねて着るのか」「吸汗と発散は一枚で兼ねられるのでは」といった意見が多かったが、逆にこれに飛びついたのが、沢登りやカヤックの愛好家だった。このような全身びしょ濡れになるスポーツでは、肌着は濡れっぱなしでいつまでも乾かない。とはいえウェットスーツを着込んでしまうと通気性がなくて苦しいし、陸上では動きにくい。その点、ドライレイヤーを軸にしたレイヤリングなら、濡れたときの保温性と陸上での快適性の両方が実現できた。だからドライレイヤーは沢や渓谷で人気を博したのである。
その着心地を一言で表わすなら「ストッキングを着ている感じ」である。ニットなので適度な締め付けがあり、さらに立体構造で生地に厚みがあるせいか、ベースレイヤーと肌との明らかな剥離感がある。この独特の剥離感がそのまま「汗離れ」や「濡れ戻りの少なさ」につながり、ドライな着心地が終始つづく。
元々この製品は渓流や雪山での使用を目的に開発されたもの。従来品よりも厚みのでる立体的なニットにすることで濡れ戻りを物理的に防ぎ、さらに寒い時期の保温性を確保することを狙っている。
11月下旬に行ったシーカヤックによる外洋航海に使用し、ずぶ濡れのまま連続7日間着用してみた。このとき、ベースレイヤーは常に濡れていたにもかかわらず、その不快さやゾクゾクする寒気を味わわずに済んだ。濡れっぱなしでも非常に効果の高い製品だ。小手先のごまかしではなく「レイヤーを別に立て、独立した撥水層をつくる」というファイントラックの理論は正しい。
ソース:山と溪谷2015年3月号 特集「一人前の登山者になるためのセルフレスキュー講座」
Yamakei Gear Test & Report Vol.11
Dry UnderWear ドライ系アンダーウェア
Tester = Hobojun
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