2015年4月24日金曜日

「どこまでやろうか?」 [服部文祥]



20kgの荷物を8時間運び、1日400円の給料。

そんな「パキスタンのポーターたち」を見ているうちに、服部文祥の頭の中は疑問でいっぱいになった。



物資に囲まれた生活をする者が、経済格差を利用して荷物を持ち上げてもらい、わざわざ高峰に登る意味はあるのだろうか?

ポーターたちの方がよっぽどタフで、サバイブする能力があるのではないか?






かくして服部は「サバイバル登山家」になった。

装備に頼らず、食料や燃料を現地調達しながら、道なき道を自力でゆく。

テントも時計もライトも持たず、マッチやライターさえも持ちたくない。






マムシとシマヘビはおいしい。ヤマカガシは苦味があり、アオダイショウは生臭い。

キノコはヒラタケとナラタケを覚えるべき。

イワナを手づかみで捕まえるときは軍手をすると滑らない。

屋外で寝るときは、ステンレスの茶こしを使って蚊を防ぐ。



著書『サバイバル登山入門』には、そんな「野で生きる技」が披露されている。

自身がどこまで独力でできて、どこからが生かされているのか?



「どれくらいできるのか?」ではなく

「どこまでやろうか」と考えること








ソース:Number(ナンバー)870号 二十歳のころ。 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
幅允孝「新刊ワンショット時評」



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