話:立木明広
八甲田を離れるまぎわ、平井君に
「青森で、どこか面白いスキー場ない?」と聞いてみた。
彼はしばし考えた後
「”陸奥湾にすべり込むようなスキー場”がありますよ」とのこと。
そこは、本州最北端のスキー場で、むつ市に隣接している『釜臥山スキー場』だという。僕たちは「陸奥湾にすべり込む」というフレーズに刺激され、さらに北上することを決めた。
下北半島をしばらくクルマで走っていると、陸奥湾を挟んだ対岸にスキー場が見えてきた。対岸から見ていても、”海にすべり込んでいく”ようなロケーションであることがよくわかる。
ここにも子供たちの姿が目立つ。真っ青な空のしたを海に向かって元気に”すべり込む”子供たちの姿を見ていると、なんだかとても嬉しくなる。田舎ではじつにたくさんの子供たちが元気にスキーをしているのだ。
しかしその反面、一見とても平和にみえる釜臥山からの景色も、その目線の少し先には東通村の原発や六ヶ所村の核処理施設などが林立していた。人々の目に触れないような場所に隠れるように立ち並ぶ物々しい鉄柵と巨大な建造物に、何ともいえない違和感を抱いた。
…
幸いにも、これまで山とスキーを通し、世界中のさまざまな場所を訪れる機会を得ることができた。その経験から、他国と比較してもやはり”日本の美しさ”は際立っていると思う。
これから、とくに子供たちや若い世代の人たちに、僕ならではの視点でスキーや山の素晴らしさ、そして日本の美しさを伝えられるような活動を続けていきたいと思う。
この国の美しさをより深く知ることが、この国をより良い方向へ向かわせるための第一歩につながる気がする。
…
引用:豪雪の北東北をめぐる旅『POWDER SKI 2014 winter 』
画像:nico-home
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